2007ジョグジャカルタ旅行記5

満を持してボロブドールに向かった。例の如く到着前に関連寺院を回った。ムンドゥッツ寺院とパヴォン寺院だ。

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(パヴォン寺院) 
これもまた外観はヒンズー寺院と見間違う形状だが、中に安置された仏像は明らかに仏教のものであるばかりか、仏像的にも非常に価値のあるものらしい。

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(ムンドゥッツ寺院)

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(ムンドゥッツ寺院の仏像)
こうして辿り着いたボロブドゥール。私は奮発して遺跡内にあるマノハラ・ホテルに宿泊する事にした。このホテルに泊まれば、宿泊中遺跡へはフリーパスなのは勿論、早朝に開催される予約者限定の朝陽見学ツアーに割引価格で参加できると共に一番簡単に遺跡にアクセス可能だからだ。

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(マノハラホテルよりボロブドゥールを眺める)
早速宿に荷物を置いて対面したボロブドゥール。大きさこそギザやティオティワカンのピラミッドに敵わないが、壮麗さ、そして謎と言う部分では決してひけを取らないピラミッド状の建築と言える。

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先ずボロブドゥールと言う名前の意味も、どうして築かれたのかさえ確定的な事は解らない。寺院だったにしては、内部構造が全く無いと言うのは解せない事であるし、王墓だったと仮定しても、遺骨も埋葬品も全く発見されていないので証拠に欠ける。他に同じ様式の遺跡が存在しない事も、この遺跡の謎の一つだ。

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私がボロブドゥールを実際体験して、諸説の中からこれだ!と感じたものを先に述べよう。それは立体曼荼羅説だ。曼荼羅とは仏教の宇宙観、世界観を図にしたものだが、ボロブドゥールはなんとその曼荼羅を3D化したものだと言うのだ。

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先ずは下のwikiから写真を見て欲しい。曼荼羅の図とボロブドゥールの俯瞰図、形からして似ているとは思わないだろうか?

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(曼荼羅 Wikipedia)

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(ボロブドゥール俯瞰図 纏めより)
ではボロブドゥールの構成を見てみよう。基壇の上に5段の方形壇が築かれ、其処に4層の回廊が儲けられている。更にその上に三段の円形壇が設けられ、頂上には巨大なストゥーパが鎮座しており、基壇を含め全部で9段のピラミッド状の建築となっている。

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この建築全体で仏教の三界を表していると言われる。基壇の部分は欲界。淫欲、食欲、物欲…欲の塊…即ち人間の住む世界。一つ上のステージに登って方形壇は色界、欲や煩悩は断ち切ったものの物質的条件や肉体には未だ束縛された状態の世界。そして登り詰めた円形壇は無色界。物質的条件や肉体の束縛さえ超越して、心の働きである受、想、行、識からだけなる世界。

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この事からボロブドゥールは参拝者が登る事によって、菩薩が欲望に溢れた罪深い世界から禅定に達した世界へと悟りを開く迄の修業を追体験出来る装置でもあったのだ。さて、私は悟りを開けるのか?では遺跡を登って見よう!

ストゥーパとは

仏舍利を納めた塔。原初のインドでは鉢を伏せた半球型が一般的だったが、釣り鐘型(スリランカに多い)や、ピラミッド状の建築を土台に釣り鐘型を置いた様式(東南アジア等)へと進化した。やがて中国に仏教が伝わると、ストゥーパ卒塔婆と漢字に訳され、塔状の高層建築へと姿を変えた。更にそれが日本に伝わり五重の塔となる。即ち五重の塔はストゥーパの日本版である。

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(半球型のダルマラージカーのストゥーパガンダーラ(タキシラ)パキスタン)

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(釣り鐘型のスリランカ様式で建てられたローカナンダ・パヤー(ストゥーパ)バガンミャンマー)

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(ピラミッド状の土台の上に釣り鐘型が乗っかったシェーサンドー・パヤー(ストゥーパ)バガンミャンマー)

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(中国の仏塔(ストゥーパ)wikiより)

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(日本のストゥーパ、五重の塔wikiより)