2007チベット旅行記3

 チベット、ラサは標高3650m富士山の山頂に近い程高度がある。特に初日は高度順応の為あまり動き回らない方が良い。明日から少ない日程の中で動き回らねばならないから尚更だ。

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(摩崖石刻の仏教画)
そんな理由から迂闊にも私は近くの食堂で夕食を摂る事にした。折角チベットに来たのだからチベット料理が食べたいとカレーを頼んだのだが、店主は不機嫌そうにこう言った。

「あ?それはチベットの食いモンだよ!うちは中華!そんなモン置いて無い!」

中華料理屋に入ってチベット料理を頼んだ私もいけなかったが、漢民族チベット族の不協和音をその言葉尻から犇々と感じた。それにしても此処はチベットの首都だと言うのに、最早漢民族は此処は我の領土だと言わんばかりの振舞いだ。

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(チベット仏教画)
仕方なく適当に中華を注文し席に着くと、経緯を見ていた中国人が話しかけてきた。

「残念だったな。チベット料理を食べたかったら旧市街のチベット食堂行けば良いよ。ところでお前何処の国から来た?」

私が日本人だと答えるとちょっと驚いた風だった。どうやらツアー客の日本人しか会った事が無い様だった。彼はなんとガイドで、ガイドにしてはぶっちゃけた話方をするが、下手に着飾るより私はそっちの方が好きだ。彼も自分の意見をハッキリ言わない日本人には辟易していた様で、私を珍しげに感じたみたいだが、何事もズケズケと物を言う私が気に入ったか、お互い意気投合し様々な会話をした。勿論明日のチケットの情報も聞き耳を立てた。

「俺の仲間もツアー客の分のチケットを確保する為列にならぶが、ダフ屋は制限一杯チケットを買い漁る。並んでる人数が少なくても侮れん!夏なら泊まり込みも必要だが、今なら夜明け前に並べば大丈夫だろう。」

流石ガイド、信憑性のある情報をゲット出来た。

「明日は日本人客のガイドなんだ!日本人はチップくれない連中が多いんだよな!」

と嘆きつつ、彼等が高山病に倒れたら厄介だからと、これから酸素吸入器を買いに行くと言う


「日本人はデリケートだから、すぐ高山病にかかっちまう。お前は倒れそうも無いが、持っていたに越した事は無い。俺様がいたからこの値段なんだ。もし君だけだったらボッタくられてたはずさ!」

店主が目の前にいると言うのに彼はズケズケと私に言うと

「次回は俺をガイドに雇えよ!俺と貴様は必ず再び会う事になってる。カルマって奴さ!」

と言い残し彼は夜の街へと消えて行った。さて明日早朝、決戦の時だ。