The end of innocence

Remember when the days were long 
And rolled beneath a deep blue sky   
Didn't have a care in the world   
With mommy and daddy standing by
When "happily ever after" fails
And we've been poisoned by these fairy tales
The lawyers dwell on small details
Since daddy had to fly

思い出してごらん!
あの頃は一日がとても長かった
青空には白い雲がたなびき、何も心配する事が無い世界には、いつだってパパとママが寄り添ってくれていた
「その後彼等はずっと幸せに暮らしましたとさ」
とはならなかった、その時までは…
僕達は、そんなお伽噺話に毒されてきたんだ
弁護士達が細々と書き残して行ったよ
父が消えてしまった、その時からの事

O' But I know a place where we can go
That's still untouched by man
We'll sit and watch the clouds roll by
And the tall grass waves in the wind
You can lay your head back on the ground
And let your hair fall all around me
Offer up your best defense
But this is the end
This is the end of the innocence

でも僕は僕達が行く事が出来る、未だ誰も訪れた事の無い秘密の場所を知っている
そこで僕達は、草々が風に揺らめく中に腰掛けながら、雲が流れる様子を眺めよう
君は草を枕に寝そべって、長い髪を振りほどき、私の周りに広げるが良い
最善の策で身を守らなければならない
でも、これで終わり
無邪気でいられる時は、これでおしまいなんだ

O' beautiful,for spacious skies
But now those skies are threatening
They're beating plowshares into swords
For this tired old man that we elected king
Armchair warriors often fail
And we've been poisoned by these fairy tales
The lawyers clean up all details
Since daddy had to lie  

嗚呼なんて広大で美しい空だろう!
だけど今はそんな空も荒れ模様
私達が選んでしまったくたびれた老い耄れの王様の為に、人々は鋤を叩いて銃に鋳直してしまう
実戦を知らぬ机上の戦略家は時にとんだ過ちを犯す
僕達はそんなお伽噺話に毒されてきたんだ
弁護士達は細かな事まで精算して行ったよ
父が嘘をつかねばならなくなった、その時から

O' But I know a place where we can go
And wash away this sin
We'll sit and watch the clouds roll by
And the tall grass waves in the wind
Just lay your head back on the ground
And let your hair spill all around me
Offer up your best defense
But this is the end
This is the end of the innocence

でも僕は僕達が行く事が出来る、この罪を洗い流せる場所を知っている
そこで僕達は、草々が風に揺らめく中に腰掛けながら、雲が流れる様子を眺めよう
君は草を枕に寝そべって、長い髪を振りほどき、私の周りに広げるが良い
最善の策で身を守らなければならない
でも、これで終わり
罪無くいられる時は、これでおしまいなんだ

Who knows how long this will last
Now we've come so far, so fast
But, somewhere back there in the dust
That same small town in each of us
I need to remember this
So baby, give me just one kiss
And let me take a long last look
Before we say good bye

こんな状態(戦争)がいつまで続くかなんて誰も解らない
僕達は急ぎ足でこんな遠くまで来てしまった
でも振り返れば埃にまみれた中に僕達の思い出が詰まってる小さな街がある
僕はそれを忘れずにいたいんだ
だから大切な人よ!もう一度キスをして欲しい
そして最期にもう一度その姿をじっくりと見せて欲しい
僕達がサヨナラを言わなくてはいけなくなる、その前に

Just lay your head back on the ground
And let your hair fall all around me
Offer up your best defense
But this is the end
This is the end of the innocence

君は草を枕に寝そべって、長い髪を振りほどき、私の周りに広げるが良い
最善の策で身を守らなければならない
でも、これで終わり
罪無くいられる時は、これでおしまいなんだ


※上手く再生できないときはコチラから


この歌はドン・ヘンリーイーグルス解散後、3作目のアルバムの表題曲。途中のソプラノサックスのソロはジャズ界の巨匠ウエイン・ショーター。

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この曲は、家族から愛されていた無垢な少年が、無邪気に過ごせた時を過ぎ、順風万歩とはいかない現実に向き合う姿を叙情的に描いた歌だ。

私がこの曲を知ったのは、私が丁度学生時代を終え、社会人になる直前だった。更に幼い頃は仲良かったけれど、成長して以来険悪になっていた家族との縁を切ろうと決断していた頃とも重なっていた。そんな私にこの曲は心の不安や隙間に優しく入り込んで、慰め、そして勇気付けてくれた。本当にドン・ヘンリーの歌は私の人生のマストアイテムだと思う。

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さて、前回、ドン・ヘンリーイーグルス時代に歌ったデスペラードホテル・カリフォルニア等がベトナム戦争を起こしたアメリカへの批判が込められていると述べたが、この歌もヘンリーのアメリカが軍事国家化する事への警鐘が多分に込められている。今回はその点に主眼を置いて曲を考察していこうと思う。

一節目で歌われる青い空、瑞々しい緑の中、父と母に守られて幸せに育つ少年の姿は、そのまま古き良き自信に満ちたアメリカの姿だ。しかしそんな平和も束の間、父が消えてしまう。これは少年の父がベトナム戦争で戦死した事を表している。ベトナム戦争が幸せだった家族を粉々にし、そしてアメリカと言う国も喪失感に覆われた。

二節目、やがて少年は成長し、アメリカにも一時の平和が訪れるかに見えた。しかし「私達が選んでしまったくたびれた老い耄れの王様」によって再びアメリカに暗雲が立ち込めるのである。「私達が選んでしまったくたびれた老い耄れの王様」とはこの曲が書かれた当時のアメリカ大統領ロベルト・レーガンだ。レーガンは強いアメリカを標語に、赤字を作ってまで軍備を強化、再びアメリカは他国に軍事介入を進めていった。

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( くたびれた老い耄れの王様)

「鋤を叩いて銃に鋳直す」は聖書からの逆引用だ。

イザヤ書2章4節より
「こうして彼等はその剣を打ち変えて、鋤とし、その槍を打ち変えて、鎌とし、国は国に向かって剣をあげず、彼等は最早戦いを学ぶことはない。」

聖書では破滅的な武器の鉄を生産的な農耕に使う鋤に鋳直し平和を勝ち取ったと言うのに、レーガンのやった事は聖書の真逆を行く愚かな行為だと言う強烈な批判がこの一節から窺える。

そして戦場に行く事の無い政治家達が作り上げた正義と言う名のお伽噺話に毒された人々はやがて戦地へと駆り出され、そして骨となって故郷に帰るのである。

そして最後の三節目、国により父を奪われた少年は成長し、自らも兵士となって戦場に赴く命令が下る。最愛の彼女を目に焼き付け彼女と別れ戦地へと彼は旅立つ。こうして彼の無邪気でいれた時は終わりを告げた。

イノセンスは英語で無邪気と共に無罪と言う意味も含む。この歌の曲名は、無邪気でいられる最後と言う意味と共に、戦争をすると言う事は罪深い事だから、出征する日=無罪でいられる最後の一日と言う二つの意味を含んでいると言える。)

こうして再び軍事国家として歩み出したアメリカに強い不快感を示したヘンリーだったが、その路線はアメリカ史上最悪の父子大統領ブッシュに引き継がれ、多くのアメリカの若者を故郷から遠く離れた中東の地で犬死させ、生還した者も多くが心の病を負わされた。

世界では未だに紛争は絶えず、日本は未だアメリカの核の傘の下、集団自衛権だの、憲法改正だの、不協和音が耳障りな昨今

我々も、最早無邪気ではいられない。