史上最大の侵略

 これまで幾重もの恐るべき宇宙人の侵略者達から地球の平和を守る為戦ってきたウルトラセブンだったが、そのダメージの蓄積により最早日常生活も困難を来す程病状は悪化していた。

ダンが寝ているとセブンの上司が現れ、これ以上戦ってはならない事、ウルトラの星への帰還を命じられる。

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しかしその頃ゴース星人による地球侵略が着々と進められていた為責任感からダンは勤務を続行するが、それが裏目となってしまい、ミスを連発し、ゴース星人の地球侵入を許してしまう。

仕方なく地上から迎撃するウルトラ警備隊であったが、敵の怪獣パンドンの火炎放射の前に絶体絶命のピンチを迎えてしまい。更にゴース星人にアマギ隊員を人質に取られてしまう。

これを救う為、上司の言いつけを破りダンはセブンに変身するが、最早必殺のエメリウム光線も敵まで届かない。やっとの事で警備隊の援護射撃の末パンドンを撃破したのであったが、ダンに戻るや否や倒れ込んでしまうのであった。

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緊急手当てを終えて、精密検査を要求されるダンだったが、それを拒み逃走してしまう。精密検査をしてしまうとウルトラセブンである正体がばれてしまう。人類の味方として戦ってきたセブンですら、人類の宇宙人を受け入れない偏見と戦っていたのだ。「人類は異なる星の人と共存できるか?」はセブンを通して語られ続けたテーマでもあった。

結局ダンはとあるウルトラ警備隊の熱狂的なファンの少年の隠れ家に身を寄せるが、そこでテレビ電話で見る事が出来る基地のやりとりから、地球がとんでも無い危機に晒されている事を知る。ゴース星人が人質にとっていたアマギ隊員を利用して、地球への降伏を迫っていたのだ。地球防衛軍が決断を渋る中、ロンドン、パリ、ニューヨーク…次々と世界の主要都市が破壊されていく。

そんな中ウルトラ警備隊は敵の基地を突き止め、人質となっているアマギ隊員もろとも爆破する非情の決断をした。アマギ隊員が危ない!ダンは変身しようとするが、再びセブンの上司が現れ、もう一回でも変身したら命はない事を伝えられる。

一瞬躊躇しているところにポインターの光が弾の視界を遮った。少年の通報で居場所を知ったアンヌが心配して駆けつけたのだ。アンヌはダンを叱責する事無く、寧ろ母親の様に優しくダンに尋ねた。

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「アキオ君って子が知らせてくれたの。ダンがここにいるって。何故逃げたりしたの?ねぇ、答えて。」

無言のダン。

「ダン・・・。」

意を決して振り返るダン。

「アンヌ!ボクは・・・ボクはね・・・人間じゃないんだよ!M78星雲から来たウルトラセブンなんだ!!」

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キラキラ輝く背景に流れるシューマンピアノ協奏曲イ短調作品54第1楽章。

「びっくりしただろう?」

「ううん・・・。人間であろうと宇宙人であろうと、ダンはダンに代わりないじゃない。たとえウルトラセブンでも。」

「ありがとうアンヌ。」

この一幕はダンとアンヌの隊員を越えた感情を表したと共に、これまで一貫して訴えかけられたセブンのテーマ「人類と宇宙人は共存する事はできないか?」への総括とも言える。

そして敵基地を破壊すべく爆弾を背負った。マグマライザーが発進された

振り向いたアンヌの頬には涙が流れていた。

「今話した通り、ボクはM78星雲に帰らなければならないんだ。西の空に、明けの明星が輝く頃、一つの光が宇宙へ飛んでいく。それがボクなんだよ・・・。」

アンヌに向かってウルトラアイを構えるダン。

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「さよならアンヌ!」

その腕を押しとどめアンヌが叫ぶ。

「待って!ダン行かないで!」

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「アマギ隊員がピンチなんだよ!」

アンヌを振り切り、ウルトラアイを装着するダン。こうして危機一髪セブンはアマギ隊員を救出し、マグマライザーが爆発、敵基地を粉砕した。すると倒した筈の怪獣パンドンが復活して登場、セブンは最後の戦いに挑む。警備隊の元にアンヌが戻り、ダンの正体はウルトラセブンである事を皆に伝える。

「行こう!地球は我々人類、自らの手で守り抜かなければならないんだ!」

最早警備隊の面々はセブンをセブンと呼ばずダンと呼び、セブンの最後の戦いを必死に援護した。最後の戦いを終え、西の空に光となって消えていくセブン。この時人類と宇宙人であるセブンは真実の意味で解り合い、一緒になったのである。

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最後まで一貫したテーマ、 「人類と宇宙人は共存する事はできないか?」 それは各エピソードでは悲しい結末ばかりだったが、こうして最終回にて結実させた素晴らしい最終回だったと思う。

そして私が大好きだったアニメ「あしたのジョー」の最終回しかり、セブンの最終回しかり、この時代のヒーローは身をボロボロにさせても信念を貫こうとする事で一致していた。(愛する存在を降りきってまでと言うのも一致している。)

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そんなヒーローを見て育った私の旅が、彼等の影響を受けたとしても何のおかしい事では無いと思う。いつだって無理し過ぎて帰国したら行動不能って事も数えきれない。でも、全てを出し切って旅をすれば、人生を生きれば、最早後悔の微塵も無い。中途半端な事をしてるから生まれるのが後悔だと思っている。旅を終えて、人生を終えて、こう言えたなら本望では無いでは無いか?

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こうした生き方を教えてくれたこの時期のヒーローもの、そしてウルトラセブンに出逢えた事は我が人生の素晴らしい遺産だと思っている。