超兵器R1号

 地球防衛軍は度重なる宇宙人の侵略から地球を守る為、惑星ごと吹っ飛ばせる様な新型爆弾超兵器R1号を完成させた。それに沸き立つウルトラ警備隊。

イメージ 1



隊員の多くは「この存在があるだけ侵略者はいなくなる」そう信じていた。

フルハシ「地球を侵略しようとする惑星なんか、ボタンひとつで木っ端微塵だぁ!」

アンヌ「使わなくても、超兵器があるだけで平和が守れるんだわ」

しかし一人浮かない顔をした隊員がいた。セブンことダン隊員である。

ダン「地球を守るためなら、何をしてもいいのですか?

そうフルハシ隊員に問いただした。

フルハシ「忘れるなダン、地球は狙われているんだ」

と言い、実験を止めようと参謀室に向かったダンを制止する。 そんなフルハシにダンは叫ぶ。

「侵略者は超兵器に対抗して、もっと強烈な破壊兵器を作りますよ!」

フルハシ「我々はそれよりも、強力な兵器をまた作ればいいじゃないか!」

ダン「 それは……血を吐きながら続ける、悲しいマラソンですよ

イメージ 2



結局ダンの願いは届かず超兵器R1号は生物が住まないとされていたギエロン星に向けて発射された。宇宙人に対して地球の防衛力の見せしめを兼ねた兵器実験としてである。

しかし翌日、破壊されたギエロン星から未確認物体が地球を目指して飛来した。それは生物が住まないとされていた筈のギエロン星に住んでいたギエロン星獣が爆弾の放射能を浴び凶暴化し故郷を破壊された復讐を遂げる為地球に飛来したのであった。

故郷の仇とばかりに暴れ狂い超兵器の放射能を多分に含んだ火焔を撒き散らすギエロン星獣。地球を守る筈の新兵器が有ろう事か地球に厄災を招いてしまう結果となった。止むを得ず応戦するウルトラセブン

イメージ 3



この物語のモチーフはもうもうお分かりだと思うが当時世界を核戦争の恐怖に陥れていた米ソの核保有競争だ。冒頭に掲げたウルトラ警備隊の隊員のやりとりは正しく核保有の言い訳を表している。

・持つ事で平和が保障される。
・相手がそれを保有するのなら、我々は更に強力なものを持てば良い。

そんな構図の中、両国が核保有数をしのぎ合った。

「防衛の為なら何をしても良いと言うのですか?」

米ソ冷戦の構図は終わったけれど、世界の紛争は形を変えただけで止むことを知らない。

「忘れるな国民達よ、我国はテロリストに狙われているんだ」

テロとの戦いを標語に先進諸国は軍備拡大に凌ぎを削る。どの国も自国の軍需産業を肥やす事に躍起になっている。その下でシリアの何の罪も無い一般市民達が今日も犠牲となり消えていく。。

「テロリスト達は超兵器に対抗して、もっと強烈な破壊兵器を作りますよ!」

「我々はそれよりも、強力な兵器をまた作ればいいじゃないか!」

人類は未だ血を吐きながら悲しいマラソンを走り続けている。