ウルトラ警備隊西へ!

 アクアラングを装着した如何にも怪しい外人が神戸港に上陸、その直後タンカーが炎上する。その後彼は教会から出てきた金髪女性を襲うが逃げられてしまった。

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その頃関西では外人を狙った連続殺人が起きていたが、その犠牲者は身分を隠して来日していた地球防衛科学班のメンバーであり、襲われた金髪女性もその一員ドロシー・アンダーソンだった。

地球はペダン星に観測ロケットを送り環境調査を行ったのだが、それを侵略とみなしたペダン星が地球へ復讐を開始する事を宣告、その為の対策会議に集まるべく科学者が次々と暗殺されたのだ。ウルトラ警備隊はドロシー・アンダーソンを警護しながら会議が行われる神戸へと向かった。

しかし南極から秘密理に会議場へ向かった原子力潜水艦がペダン星人宇宙船に襲われてしまう。情報が筒抜けになっている。地球防衛軍の中にスパイが潜入しているらしい。

神戸港を歩くドロシーの前に彼女を付け狙っていた謎の外人が現れ彼女を襲った。それを助けに入ったウルトラ警備隊の面々だったが、男から意外な事実を告げられた。

彼はアメリカの諜報員であり、ドロシーを警護していたのだが、ペダン星人にドロシーを誘拐されてしまい、ペダン星人が化けた偽ドロシーを追っていたと言うのだ。つまりウルトラ警備隊が今まで警護していたドロシーこそがペダン星人だったのだ。

そんな折り神戸の会議場にキングジョーが現れ会議場を破壊せんと大暴れ、セブンが立ち向かうものの、敵にセブンのエメリウム光線が役に立たずセブンは苦戦し最初の戦いは決着がつかなかった。

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セブンの活躍により会議場を破壊されずに済んだウルトラ警備隊一同は会議場にスパイが侵入しないように変装して張り込む。そんな中ダンは偽ドロシーを発見する。

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ダン「さすがペダン星人、我々を罠に陥れるとは」

ドロシー「ウルトラ警備隊に、宇宙人がいるとは知らなかったわ。ウルトラセブン、どう?あたしたちの味方にならない?」

ダン「断る!僕は地球の平和を守る為に戦うんだ」

ドロシー「地球が平和なら、他の星はどうなっても良いと言うの?」

ダン「地球人はペダン星を侵略するつもりはないんだ。あのロケットは単なる観測ロケットだったんだ」

ドロシー「観測?はっ、いかにも立派な名目だわ。でも何の為の観測なの? それはいずれ自分達が利用する為にやっていること、その手には乗らないわ」

ダン「そうじゃない!我々地球防衛軍の本当の目的は、宇宙全体の平和なのだ!」

ドロシー「そう考えているのは、ウルトラセブン、あなただけよ」

ダン「なにっ」

ドロシー「人間は、ずるくて欲張りで、とんだ食わせ者だわ。その証拠に防衛センターではペダン星人を攻撃する為に、密かに武器を作っている」

ダン「それはお前たちが地球の平和を乱すからだ」

ドロシー「それはこっちの言うことよ」

ドロシー「他人のうちを覗いたり、石を投げたりするはルールに反することだわ」

ダン「なるほど、地球人も確かに悪かった。こうしよう。僕は今度の事件を平和に解決したい。ウルトラ警備隊は武器の研究を中止する、その代わり、ペダン星人も地球から退却して欲しい」

ドロシー「宇宙人同士の約束ね、分かったわ、あなたを信じることにする。私たちの誠意の印として、本物のドロシーを返すわ」

こうしてダンはペダン星人と約束を交わし、本物のドロシーが解放された。ダンはウルトラ警備隊に報告するも

「もしそれが本当なら、最高に良いわ。私たちが欲しいのは平和なんですもの!」

とアンヌが純粋に応えただけで他の面々はペダン星人の事を信じなかった。そんな面々にダンは熱く語りかけるのだった。

「みんな何を疑ってるんだ?まず、相手を信じることです!そうでなければ、人間は永遠に平和を掴むことなんて出来っこないんだ!」

しかしダンの必死の願いも叶わず、ペダン星人は約束を破りキングジョーを操り地球に攻撃をしかけるのだった。そして再びセブンもそれに応戦する。

一方アンヌの介護で記憶を取り戻したドロシーは敵の弱点となる光線を突き止め、急遽新兵器が開発される。

そしてセブンと警備隊の新兵器によりキングジョーは倒され、ペダン星人の目論みは崩されたのであった。

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この回は正月特番として前編、後編の二本立てで放送された。ウルトラ警備隊のウルトラホーク1号はアルファ、ガンマ、ベータ号が合体すると言うメカニックで子供心を鷲掴みにしたが、今回は敵のロボットが小さな円盤が合体してキングジョーになる仕組みになっており、後に大人気となる合体ロボットものの先駆けとなった物語でもある。

また当時流行していた007シリーズの流れを組んでスパイものの要素を物語に組み込んであるのも特徴と言える。

そして物語紹介の中で会話のやりとりをそのまま載せた部分、つまり地球側としては調査のつもりで害意は無かったものの、ペダン星側にして見れば、とても容認出来るものでは無かった…云々と言う件は、正に現在の国際情勢に当てはめて考えられる会話であり、国際関係の難しさを表していると言える。

途上国への開発援助と言う言葉は聞こえが良いが、結局労働力と金だけむしり取られ、経済的侵略を受けたと憤る途上国も多い。

今先進諸国を恐怖に陥れているISの存在にしても、元を正せば先進諸国が作ってしまった悪魔と言える。先進諸国は自らが作り上げてしまった悪魔の影に怯えているのだ。

「平和の為に戦うんだ!」と宣言するダンに

「地球が平和なら、他の星はどうなっても良いと言うの?」

と答えるドロシーの一言は正にアメリカ、フランス等テロとの戦い息巻く大統領様に是非聞いて貰いたい一言でもある。