故郷は地球

 過去のblogでも書いたと思うが此方でまた書き直そうと思う。ウルトラマンシリーズの話は、ただの子供番組に留まらず非常に考えさせられる内容の話がある。今回は初代ウルトラマンから「故郷は地球」を紹介したい。

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時代は60年代、アメリカが、ソ連が宇宙開発に凌ぎを削っていた時代。とある国のロケットが事故により地球に帰還出来なくなってしまった。しかし科学を進める為パイロットを犠牲にした事は国の恥と考えたその国は事件を隠蔽してしまう。

しかしパイロット・ジャミラは生きていた。水の全く無い環境で怪物に変異して…そして自分を見捨てた故郷、地球に復讐すべく様々な困難を乗り越え地球に戻ってきた。そして世界平和国際会議に向かう各国の代表を乗せた飛行機を攻撃した。そんなジャミラを正体を明かす事無く、一匹の怪獣として倒す様に科学特捜隊に非情な命令が下る。そんなジャミラの正体を知ってしまったイデ隊員は銃を投げ捨て

ジャミラと戦うのはやめた!」

と叫ぶ。

「俺達だってな、俺達だってな、いつジャミラと同じ運命になるか知れないんだよ。」

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しかし怒りに我を忘れ、会議場だけでは無く一般市民にも攻撃を向けるジャミラ

ジャミラ、てめぇ、人間らしい心はもう無くなっちまったのかよ?」

というイデ隊員の叫びで、一瞬ジャミラの動きが止まったものの再び暴れ始めてしまう。結局変身を遂げたウルトラマンに倒され悲しそうな断末魔をあげジャミラは生き絶えた。

夕日の中でムラマツ・キャップ

ジャミラ、許してくれ。だけど、いいだろう?こうして地球の土になれるんだから。お前の故郷、地球の土だよ。」


こうして国際平和会議は無事開幕を迎えた。科学特捜隊が建てた墓碑銘には

「人類の夢と科学の発展の為に死んだ戦士の魂、ここに眠る」

と刻まれた。そんな墓碑を眺めながらシリーズの道化師的役割のイデ隊員が語る。

「為政者はいつもこうだ。文句だけは美しいけれど…」

私は再放送でこの物語を見た。子供心にも何処か寂しく悲しい内容に母に

ウルトラマンはどうしてジャミラをやっつけちゃったの?ジャミラは地球の人間だったのに!」

って泣いた記憶がある。

今となって見れば、国に見捨てられた事は怒りとなって当然だとしても、一般人まで攻撃を加えたジャミラの行為は許され無い行為でもある。

しかしながら我々も現在、同様な存在に怯えている。そうテロリスト達だ。彼等も何も無くてテロリストになった訳では無い。然るべくして植え付けられた怒りによって生まれたものだ。

我々の社会でも次々とジャミラが産み出され続けている。

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(私達のウルトラマンゴッコの定番でした。)
一方違う観点からもこの物語を被せて考えてしまう事がある。ジャミラは国の名誉を一身に背負い宇宙へ旅立った。日本は世界で唯一過労死と言う現象が起きる国、企業は社員の労働意欲を鼓舞し責任感を煽り続ける。

しかしもしその仕事が失敗に終わった時…

皆様、決してジャミラにさせられぬ様、ジャミラにならない様、くれぐれもお気をつけください。

「会社はいつもこうだ…。
文句ばかりは美しいけれど…。」

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