ラオス旅行記3
二日目はちょっと早起きをして市内の至るところに点在する寺院を散策した。インドに発祥した仏教はクシャーナ朝の時大乗仏教が出来、それまでの上部座仏教と袂を分けたが、ミャンマー、タイ、ラオス、カンボジア等東南アジア一帯は上部座仏教が伝播した。
(ワット・シーサケット)
ラオスもそんな上部座仏教の寺院群なのだが、タイ等で目にするきらびやかな寺院と比べかなり地味に感じる。しかしそんなところもまたラオスらしくて微笑ましい。しかしゆっくり見学しても半日あればほぼ見尽くしてしまった。さてこれからどうしよう?私は取り合えず情報収集に地元の旅行会社へと向かった。
「何かここ周辺で見所ありませんかぁ?」
と間抜けな質問をする私に
「ルアンパバンなら世界遺産なんだけど、此処はあんまり見所って見所無いんだよなぁ…。」
なぁんて 全く正直と言うか商売っ毛の無い返答。そして
「ごめんな。今祭りの真っ最中でドライバーもガイドもみんな酔っぱらっちゃってるから(笑)」
なぁんて始末。勿論ガイドを頼むつもりは無かったので、取り合えずガイドブックで調べた仏陀パークなるものの行き方を教わって店を出た。
(ワット・ホー・パケオ)
仏陀パークとはビエンチャン郊外にある仏陀をテーマとして作られたテーマパークなのだそうだが、勿論歴史的価値は全く無い。私も園そのものよりそこに訪れる道程を楽しみに其処へと向かった。
(仏陀パーク)
そこへは地元のローカル乗り合いバスに乗って訪れる。乗り合いバスは現地の人々を知るにはもってこいの乗り物だ。オンボロのバンにぎゅうぎゅう詰めになってバスは発車、途中メコン川の対岸のタイとの国境に架かる橋の前で大勢客が降りていく。物資が豊かなタイへと皆買い物へ向かうのだろう。
(仏陀パーク)
そこを過ぎると道は未舗装になりバスは砂埃をあげながら走る。途中同乗者に教えて貰いバスを降りた。そこにはちょっとヘンテコな仏像が至るところに鎮座していた。現代版仏像アートと言った風情だろうか?仏教の敬虔な信仰国ならではと言える。ヘンテコな仏像を見飽きたら、川のほとりでビアラーオを傾け、ビエンチャンに戻るバスを牛と一緒に待った。
帰る途中タイとの橋の袂で再び大勢の客がバスに乗り込み再びぎゅうぎゅう詰めになる。行きと違って彼等は両腕に沢山の戦利品を抱えての乗車だから尚更だ。窒息しそうになりながら市内へと戻ればメコン川に日が堕ちていく。私は急ぎ足でメコン川の辺りへと向かった。
川辺では大忙しで祭りの後片付けが始まっていた。そんな風景とは裏腹に余りにも長閑に夕陽はメコン川に堕ちていく。チベットを発し、ラオスとタイの国境を流れ、やがてカンボジアに入るメコンの恵みは、かつてアンコール王朝が繁栄させた。そしてベトナム、ホーチミンの郊外ミトーを通り東シナ海に灌ぐ東南アジアの母なる大河だ。
そんな母なる大河に堕ちる夕焼けを眺めながら緩い東南アジア独特の雰囲気に包まれて、気づけば私の体調はすっかり回復しきっていた。私は日没を見終えるとビアラーオを飲み干して、ちょっぴり後ろ髪を引かれつつ空港へと向かった。